2023年05月のメルマガ
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意識と感覚:大脳新皮質の知識 part4 日本自律神経研究会 No.239
配信日:2023.05.05
◆意識すると刺激は増幅
◆意識しないことで…
こんにちは、日本自律神経研究会(JANA)の鈴木です。
3週連続で「大脳新皮質(以下皮質)の知識」のメルマガをお送りさせていただきましたが、振り返ってみましょう。
- 前頭葉は一番進化した皮質であり、疲労に弱い。
疲労すると、感情コントロール・予期・計画・実行する能力が低下。すると、うつの症状が出現。 - 対策として…
刺激から遠ざかる・深呼吸をして酸素を取り入れ、疲労を回復させる。 - 五感全てが前頭葉に伝達されるため、疲労回復後には様々な刺激を受け、前頭葉を活性化させる。
このようなことをお伝えしてきました。
では4回目の今回は、「意識と感覚」というテーマでお伝えいたします。
<< 意識すると刺激は増幅 >>
このメルマガでお伝えしたことの根底には、「脳の活性化には酸素・栄養・刺激が必要」があります。
そして、刺激は五感を通して前頭葉に伝達されるのですが、結論から言いますと、ただ刺激を受けるのではなく、その刺激を意識することで刺激は増幅しながら前頭葉に伝わるのです。
例えば、ご飯を食べている時、味や食感、香り・歯ざわり・噛み応え・のど越しといった感覚を意識して食べる場合は、意識しないで食べる場合よりも、前頭葉に伝わる刺激が増幅するということです。
新聞やテレビを見ながらご飯を食べた場合、前頭葉に伝わる刺激は少なくなります。
食べ物の場合、相当まずいものでもない限り、脳には「栄養を取れる」という刺激が入っているのでそれは「快」の刺激になります。
そのため「快」の刺激が増幅されると脳は快楽物質を自ら分泌し、快楽状態に浸れるのです。
うつや自律神経失調症になると、脳は不快な状態が続いていますので快楽状態にしてあげることはとても大切です。
もちろん、食べ物だけではありません。
- 肌触りのいいものを身に着けた感覚
- 運動するとき、どの関節をどれくらい動かしているかの感覚
- 音楽を聴く際の、音やリズムの感覚
これらの感覚を意識することで前頭葉にいい刺激が送られるのです。
<< 意識しないことで… >>
実は我々は、ストレス状態にある時、それらを意識しないようにすることが多々あります。
いわゆる「気にしない」ということです。
これはこれで一定の効果はあります。
しかし、ストレスを意識しないということは、それらの刺激を和らげる効果はありますが、前頭葉に伝わる刺激の低下につながります。
すると、前頭葉が活性化せず、ストレスに対処する能力も低下してしまうのです。
前回お伝えしましたが、前頭葉以外は、情報の入力と統合しか行いません。
具体的な行動の指令を出力するのは全て前頭葉です。
そのため、前頭葉の機能が低下すると、入力されたことに対して反応できなくなってしまうのです。
つまり、ストレスに対応できずにストレス状態が続くことになるのです。
<< 感じることは全ての始まり >>
私のセミナーで「エネルギー・サークル」というのをお伝えしたことがあります。
そのスタートは「感じる」ということがテーマです。
また、私のワークショップだけでなく世界各地の様々なワークショップでも「感じる」ということはとても重要視されます。
うつでも自律神経失調症でもトラウマでも「感じる」ことができて改善が始まります。
このように、感じるということを意識するのはとても重要視されていますが、脳の働きからいっても、とても大切なことなのです。
さて、4週連続メルマガの「大脳新皮質の知識」はいかがでしたか。
メルマガで伝えられるのはほんの少しでしたが、これらの情報があなたの施術やセラピーの参考になればうれしく思います。
日本自律神経研究会 代表 鈴木直人